熊本特集(4)
九州の絆創膏の代名詞「リバテープ」、その驚くべき開発力とは
リバテープ製薬株式会社 技術開発部長 北森照康 氏 / 技術開発部係長 原節子 氏
ABOUT COMPANY
今回熊本を代表する企業としてご紹介するのは、国内で初めて救急絆創膏を製造した
リバテープ製薬株式会社。1878年創業の歴史ある企業であり、
九州で絆創膏といえば「リバテープ」と呼ばれるほどの知名度を誇ります。
ジェグテックには、熊本市からの推薦という形で登録に至りましたが、誰もが知るリバテープを製造する企業が、
今後どのような形で事業を展開していくのか、技術開発部長の北森照康氏、同係長の原節子氏にお話を伺いました。
薩摩軍医秘伝の「ほねつぎ膏」から、日本初の救急絆創膏を開発。
九州で知らない人はいないと言っても過言ではないリバテープ製薬株式会社。創業は1878年。元々は「ほねつぎ膏」という消炎鎮痛剤の製造販売から始まった企業でした。「創業者は、西南戦争の激戦地である田原坂近隣にて、敵味方の分け隔てなく負傷者の看護を行っていたそうで、それに感銘を受けた薩摩軍医から、秘伝の膏薬を伝授されたのをきっかけに、ほねつぎ膏を製品化したと聞いています。その後ほねつぎ膏は1965年頃まで市販され、当社を代表するリバテープのルーツとなりました」と、北森氏は語ってくれました。リバテープは、戦後アメリカ軍が使用していた救急用の包帯をヒントに研究開発して誕生。日本で救急絆創膏を開発・製造した企業は、リバテープ製薬が初めてとも言われています。
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下:ほねつぎ膏
常にお客様の声に応えて改善し続ける。
1960年の販売開始以来、リバテープがここまでロングセラーを続けてこられた理由について、「常にお客様からの声に耳を傾け、それに応えようと改善を続けてきたから」と控えめに語ります。「救急絆創膏を製造する上では、非常に多くのノウハウを必要とします。傷口や皮膚に直接触れ、さらに体の動きにも直結する商品ですから、密着性やフィット感、操作の利便性など、なかなか気付かれない部分にもこれまでさまざまな改良を行ってきました」と、口調とは裏腹に、その言葉には自信と責任が滲みます。
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顧客ニーズ実現のため、医療機関向け製品に注力。
リバテープをはじめとする一般家庭向けの医療衛生品以外にも、医療機関向けの大型絆創膏や医薬品の分包消毒剤、馬油のスキンケア化粧品など、さまざまな製品を開発し、製造販売しているリバテープ製薬。当初は、一般家庭向け製品が売上の大半を占めていたそうですが、現在では、医療機関向け製品の開発に力を入れており、事業規模でも医療機関向け製品が一般家庭向け製品を上回る状況まで成長してきたと言います。「その背景には、地域医療の発達や少子高齢化、子供が外で遊ばなくなったことなどの要因があります。医療機関向け製品の需要が増えたことで、当社では、販売部門に寄せられた顧客ニーズを実現すべく技術開発部が製品開発を実施。開発担当者が顧客と直接面談するなど、開発部門と販売部門が連携して製品開発に取り組んでいます」と、北森氏は同社の大きな強みを教えてくれました。開発担当者は製造部門での試作評価及び購買部門や品質部門との確認を行い、会社全体で新製品の開発を実現しているとのこと。さらに、熊本大学などさまざまな研究機関との連携も行っているそうで「地元の水前寺海苔から抽出された有用成分サクランを主要保湿成分とした“咲水(さくすい)”の開発においては、熊本大学や県内企業と連携し、地域産業の活性化にも取り組んでいます」。
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下:咲水(さくすい)製品
ブランドを維持しつつ、技術を活かして新たなマーケットの開拓を。
今後の事業展開について原氏に伺うと「“リバテープ”というブランドを維持しつつ、積極的に製品開発を進め、新たなマーケットの開拓を図っていきたいと考えています」とのお言葉が。常に「皮膚の健康を守る」という考え方を根底にして事業を展開してきた同社だからこそ、今後もその方針は変わりないと言います。「介護業界など、医療分野に限らず自社の技術を活かせる分野があるはず」とのお考えをお持ちのようで「常に顧客のニーズを積極的に掴み、顧客に受け入れられる製品の開発に注力していきたいと思っています。ジェグテックのようなWebを活用した販路開拓についても、今はまだ取り組めていませんが、企業連携の促進や新しい取引先の確保等に関して、これまでとは違ったルートで発掘できることはとても良いシステムだと感じています。具体的な活用については、中小機構と連携しながら詰めていきたいですね」と、積極的な姿勢を見せてくださいました。
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技術開発部係長 原節子 氏
FROM J-GoodTech
リバテープ製薬株式会社は、長年顧客の健康を守り続けてきた、熊本を代表する企業。
そして、現在までの成長に至る過程では、「リバテープ」というブランドを維持しつつ、
新たな製品開発、新たなマーケット開拓という、
企業が存続していく上で不可欠なサイクルを継続してきたことが、最大の強みといえます。
常に顧客の意見に耳を傾け、積極的に製品開発を行い、新製品を市場に投入し続ける同社は、
正に中小製造業の模範となるような経営スタイルではないでしょうか。
こうした企業の新たな販路開拓のツールとして、ジェグテックが貢献できれば幸いです。