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二酸化炭素を冷媒にする新しい冷凍機を実現

日本熱源システム株式会社 取締役営業本部長 吉井 一 氏

地球温暖化の原因の一つとされるフロンガスの使用は、世界で規制強化が進んでいますが、
日本では冷凍機やエアコンなどの冷媒として使われています。
このフロンガスを使わずに、二酸化炭素を自然の冷媒として使う冷凍機を日本で実用開発したのが、
東京都新宿区に本社がある日本熱源システム株式会社です。
二酸化炭素の排出量を削減するとともに、高い省エネ効果がある新しい技術について、
吉井一取締役営業本部長に話を聞きました。

国内初の二酸化炭素を冷媒にする産業用大型冷凍機
カーボンニュートラル等に貢献する製品・サービスの特長

大型の特殊冷凍機メーカーの日本熱源システムは、カーボンニュートラルの実現に貢献しようと、脱フロンガスを掲げています。その一環として日本で初めて開発したのが、二酸化炭素を冷媒にした新しい冷凍機ユニットの「スーパーグリーン」です。

従来の冷凍庫や冷蔵庫、エアコンなどの冷媒にはフロンガス系のものが使われてきました。フロンガスはオゾン層を破壊するため、地球温暖化の原因とされていて、1987年にカナダで採択された「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」によって、使用についての規制が進められています。2022年1月には冷凍庫に使われているフロン系の新冷媒は、欧州各国で使用が禁止されました。しかし、日本では冷媒の脱フロンガスの取り組みは遅れていて、今も多くのメーカーでフロンガス系の冷媒が使われているのが現状です。

日本熱源システムが二酸化炭素を冷媒にした冷凍機の開発に取り組んだきっかけは、技術提携していた世界3大冷凍機メーカーの1つであるドイツのGEA社から、2012年頃に提案を受けたことでした。当時、ヨーロッパでは複数の企業が同時に開発を進めていました。日本熱源システムではGEA社などから試験機を購入して研究を進めましたが、当初はヨーロッパと日本の気候の違いに苦労したと吉井取締役は振り返ります。

「ヨーロッパの夏は日本より涼しいので、日本の暑い夏に対応できるように技術開発できるかが大きなポイントでした。二酸化炭素は外気温が25度以上あると、冷媒として使うのが難しくなります。最初はうまくいきませんでしたが、約3年間かけて独自の技術を開発し、2015年に1号機の発売にこぎつけました」

二酸化炭素の排出抑制と経済性にメリット
機能/特長/強み

日本で初めて二酸化炭素を冷媒に使用した産業用冷凍機「スーパーグリーン」は、今までのフロン系の冷媒と同じように、二酸化炭素を液化してから内蔵のタンクにためて、液をクーラーに送って蒸発させる乾式直膨方式を採用しました。従来のフロンガス系の冷媒を使った冷凍機に比べて、非常に多くのメリットがあります。

まずは環境性です。二酸化炭素という自然の冷媒を使用しているので、地球温暖化への悪影響はありません。日本などで使われている代替フロンは、塩素を含まないのでオゾン破壊係数(ODP)こそほぼゼロに近いものの、二酸化炭素を基準にして何倍の温暖化能力があるかを示す地球温暖化係数(GWP)は非常に高くなっています。最も使われているフロンR22でも1810と高い数値ですが、二酸化炭素のGWPは1なので、温室効果ガスの排出抑制に非常に大きな効果を発揮します。

無味・無臭・無毒なので安全性も高く、空冷式のため水を使用せず、災害などで断水が起きても運転には全く影響がありません。従来の大型の冷凍倉庫などでは、水がなければ運転ができないので、事業継続計画(BCP)を考えたときに大きな優位性があります。

また、日本国内でも今後、代替フロンの使用について規制が進んでいくとみられます。二酸化炭素を利用しているので、新たな規制が行われても関係なく、将来にわたって使用を続けることができます。

幅広い用途に応じた機種を開発
具体的な使用シーン、ターゲット、使用例、活用実績

「スーパーグリーン」のもう一つの大きな特徴は、上は15度から、下はマイナス43度まで、幅広い温度帯で冷却化ができることです。その結果、幅広い用途で使用することが可能です。

最も低いマイナス43度付近の温度帯での冷却が必要になるのは、食品用の低温冷凍倉庫です。マイナス25~35度前後では食品用冷凍倉庫や、食品用プロセス冷却などに使われています。特に低温の産業用の冷凍施設で使われる冷凍機の中では、「スーパーグリーン」が大きなシェアを占めています。0度を超えると、ビルの空調やビニールハウス用のヒートポンプなどに使用されます。

こうした用途に応じて、「スーパーグリーン」は様々な機種を提供しています。冷蔵倉庫用、食品工場のフリーザ用、製氷工場、工場空調やチルド水生成用、マーガリン工場のプロセス冷却用などがあります。アイスクリームやマーガリンのプロセス冷却が出来る装置を作っているのは、国内では日本熱源システムだけです。

中でも二酸化炭素を冷媒以外の特殊な用途に利用できるのが、ビール工場の二酸化炭素捕集冷却用の機種です。ビール工場では発酵用のタンクが並んでいて、中ではビールが発酵して、大量の炭酸ガスが発生しています。このガスを排出すると大気中に二酸化炭素を放出することになりますが、この機種では発生した炭酸ガスを回収します。回収したガスは捕集設備につないで、炭酸ガスを冷却し、液化炭酸を作り出します。この炭酸が、ビール会社が製造しているサイダーなどに使われています。二酸化炭素を冷媒にする技術が、二酸化炭素を再利用する技術に応用されているのです。

今後も進化する二酸化炭素の冷媒技術
カーボンニュートラルの取り組み又は企業の特長

全国の冷凍施設では「スーパーグリーン」の導入が進んでいます。2015年に1号機を発売して以来、2022年4月までに369台を販売しました。大型のロジティクスセンターなどでは1か所で20台以上導入するところもあります。それでも、大型機の開発が進んだことで、従来の代替フロン系の冷凍機に比べると少ない台数で同等の効果を発揮することから、設備投資額は大幅に削減できます。

「スーパーグリーン」に注目しているのは、現状の代替フロン系の冷凍機からの変更を考えている施設です。今後も大きな需要が見込まれることから、日本熱源システムでは滋賀工場の増設を進めて対応できるようにしています。販路開拓においては中小機構の各種支援施策も活用しながら進めています。また、「スーパーグリーン」を導入する企業には、補助金を受けられるメリットもあります。脱フロンガスであると同時に、二酸化炭素排出量の大幅な削減を見込める製品であることから、環境省の「脱フロン・低炭素社会の早期実現のための省エネ型自然冷媒機器導入加速化事業」が適用されます。対象となるのは冷凍冷蔵倉庫、食品製造工場、スーパーマーケットのショーケースで、補助率は3分の1になります。

日本熱源システムは今後も低炭素社会に貢献しようと、新たな技術の開発を複数進めていると吉井取締役は明かします。

「現在は大型施設対象では低温帯の倉庫に導入する機種が主力ですが、今後は二酸化炭素では難しいとされている20度から25度の定温に保つ倉庫にも、二酸化炭素の冷媒を使った技術が使えるように開発を進めているところです。その他にも効率がいい小型の冷凍庫や、二酸化炭素のエネルギーで廃熱を回収して温水を作る技術なども開発しています。カーボンニュートラルに貢献する事業を、今後も推進していきたいですね」

ABOUT COMPANY

日本熱源システム株式会社
東京度新宿区四谷1-6-1 四谷タワー20階
受賞実績
第22回オゾン層保護・地球温暖化防止大賞(2019年)
第24回オゾン層保護・地球温暖化防止大賞経済産業大臣賞(2021年)
省エネ大賞中小企業庁長官賞(2019年)
資本金:4,500万円
従業員数:110名

取締役営業本部長 吉井 一 氏
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