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試作品製作や量産技術をワンストップで提供
ものづくりの本質を捉えた提案力に強み

南デザイン株式会社 常務取締役 松尾 徳人 氏

ABOUT COMPANY

プラスチック樹脂を使った製品の試作から多品種、小ロットの量産まで対応する南デザイン株式会社
「できないは言わない」をモットーに、企画、デザイン、設計、加工、塗装、印刷など、
ものづくりに必要な技術をすべてワンストップで提供できる体制を作りあげています。
国内大手企業との取引も多く、何もないところから一緒にものを作りあげていく提案力に強みがある同社。
南デザインが考えるものづくりとは、いったいどのようなものなのでしょうか。
常務取締役である松尾徳人氏にお話を伺いました。

木型のモックアップが始まり

創業は1971年。もともとノミやカンナで木型のモックアップを作る職人だった先代社長が、一人で起こした会社でした。しかし、時代とともに木型の仕事が減っていく中で、設備投資をある程度おさえて始められるプラスチック加工に軸足を移し、プラスチックでの試作品製作に注力するようになります。「小さな会社が大手企業と対等にやり取りできるのが試作の良いところです。昔は、いい意味でお節介な企業が多くて、我々のような中小企業にもいろんなことを教えていただき、成長させてもらいました。お客様に恵まれてきたなと思います」と松尾氏は語ります。

お客様に成長させてもらったと語る常務取締役 松尾氏
お客様に成長させてもらったと語る
常務取締役 松尾氏

高品質の追求で信頼を得る

お客様とのやり取りの中で学んだのが、高品質の追求がいかに重要かということ。穴を開ける作業ひとつとってもただ開ければ良いというわけではありません。
「例えば1mmずつずれていった部品が10部品あると、積み重なれば1cmもずれてしまいます。一つひとつの穴の精度がいかに大切かを強く叩き込まれました。当社では品質検査の工程に多くの設備と人員を割いて、高い品質を保つようにしています。そのことが、結果として無駄な作業を減らし、お客様の信頼を得ることにつながっています」。

高品質にこだわった成形技術
高品質にこだわった成形技術

「ものづくりは人づくり」
社員に任せる文化

南デザインの高い技術や品質を支えるのは、一人ひとりの社員です。「ものづくりは人づくり」だと松尾氏は言います。「当社には、なるべく分業しないで、一人に任せるという文化があります。効率化を図るのであれば、分業した方が良いのは分かっているのですが、先代社長のポリシーとして、いろんなことができて一人前という思いがあるんですね。考えることも多く、責任も大きいですが、その分緊張感もある。任せることが人を伸ばすのではないかと思います。分業はしないけれど、協力するところは協力するという形で社員たちはざっくばらんにやり取りしていますね」。試作という仕事は新しい試みも多く、なかなかうまくいかない時もあるそうです。「でも諦めません。すぐに投げ出さず、なんとかやり遂げようという意識を持っている社員が多い。それは自慢できるところです」と松尾氏。

任せることが人を伸ばす
任せることが人を伸ばす

「できないは言わない」がモットー

南デザインが大切にしているのはお客様の困りごとをいかに解決するか。「できないは言わない」をモットーとして、お客様の要望に応えていくうちに、ものづくりをする上で必要な工程はすべて自社でまかなえるようになったそう。「ワンストップでものづくりできる体制が、この社屋の中にすべて揃っているのです。イメージしたものをすぐ形にして、これでいけるのかどうか、ダメならどうすれば良いのかという試行錯誤を、短い期間にすべて当社内でおこなうことができます。それをお客様と共有しながら進めていけるというのは当社の強みです」と松尾氏。新規のお客様にはできるだけ工場に見学に来てもらうようにお願いしているとのこと。「見学時には、営業担当者だけではなく、なるべく現場の人間にも説明させるようにしています。等身大で誠実にやっているところをお客様に見てもらうことで、実際に見学に来られたお客様の多くは、安心して任せられると言って帰っていきます」。

整理整頓が行き届いている作業現場
整理整頓が行き届いている作業現場

簡易金型で
多品種少ロットの量産に対応

今から20年程前、あるお客様から試作用の金型製作で、従来40日かかっていた製作期間を半分の納期で対応できないかという相談がありました。そのお客様は、早くから3Dデータを駆使したものづくりで熟練した技術を持つ南デザインならできるはずだと考えたのです。はじめは金型という“鉄”の領域は難しいと思っていたのですが、お客様が金型に適したアルミの素材を見つけてきてくれたのです。アルミであれば、鉄ほど硬くなく樹脂に近い加工ができるかもしれない。そこから始めたのが試作用の簡易金型でした。また別のお客様からは、簡易金型で量産ができないかという相談を受けます。テストしてみたところ、10,000回くらいの使用であれば耐えられるということが分かりました。こうして小ロットの量産にも対応するようになったのです。「今は、大量にものが売れなくなり、多品種小ロットが求められる時代です。簡易金型のメリットは、何と言っても早くできること。価格も通常より低く抑えられます。また、テスト販売と割り切り、アーリーアダプターによる評価を受けながら製品を成熟させるのに適した真空注型という技術もあります。こちらは市場で製品がどのように受け入れられるかを知るために、少量で始めたいスタートアップ企業に向いています。そういった企業のチャレンジも、当社は応援していきたいですね」。

靴べらを作るための簡易金型
靴べらを作るための簡易金型

製作側の知見を生かした企画提案

南デザインの強みは、加工、量産技術だけではありません。これまでの大手企業との試作品製作で企画段階から一緒にやってきた経験で得たノウハウや知見をもとに、生産数や売り方まで考慮した提案ができることも大きな強みとなっています。
「少量生産には逆算の考え方が重要です。例えば、1,000個作るとしたら、それに一番適した製造方法を考えないといけません。その上で、もっともパフォーマンスの高いデザインや設計をしていく必要があります。製造の部分だけでコストダウンを図るのではなく、出来上がる製品の市場価値を見極めた上で、全体でどのくらいまでコストをかけられるのか、その費用はどこから捻出するのかといったところまでお客様と一緒に検討していきます。これからは、単なる製造だけではなく、企画や提案といった深掘りをしていくような仕事もしていかないといけないと思っています」と松尾氏。

製作側としてのノウハウを提案に生かす
製作側としてのノウハウを提案に生かす

いかに世の中の流れにあわせたものづくりをおこなうか

今後、どのような展望を持っているかを聞くと、松尾氏は次のように答えてくれました。「既存のお客様にもっと良いものを届けないといけないし、新たな顧客開拓も必要だと思っています。ただ、10年先の設備投資を考えると、時代が読みにくくなってきていると感じます。最近は“モノ”より“コト”になっています。良いモノとは何か。また、コトに関して自社でできることは何かを考えていかないといけないと思っています」。ただ言われたものを作ればいいということではなく、「良いモノとは何か」をお客様と一緒に考えて、ものづくりをする。ものを作る側としての責任が、今後は一層求められていくと感じているとのこと。「一緒に考えましょうという立場でいると、お客様は相談事から入ってきてくださいます。本音ベースで困りごとを話してくれて、我々をパートナーとしてみてくれます。そこにどういう提案ができるかが私たちの役割です。別に大きなことを言わなくても、私たちの等身大の姿を見てもらって、誠実にやっていけば、お客様に信頼していただけるのではないかと思っています。そこには自信を持っていますね」と松尾氏は語ってくれました。

FROM J-GoodTech

高い技術と品質でものづくりをするだけでなく、製品の市場価値を考慮しながら、
企画提案までお客様と共に考えるという南デザイン株式会社。
これからの日本のものづくりを牽引する企業としての気概を感じました。
「ジェグテックではいろんな業界の動向を知ることができるところがいいですね。
今、ロボットに注力しているところなので、
その分野の企業との連携に期待しています」と松尾氏は話してくれました。

南デザイン株式会社は、高い技術を持ち、時代の先を読んでものづくりをおこなおうとする会社でした。
今後も中小機構では、こういったチャレンジ精神と課題を解決していく力をお持ちの中小企業に焦点をあて、
中小企業が多くの企業の目に触れるような活動を促進していきたいと考えております。

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