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「±0.5℃の温度変化も許されない世界で、
私たちにしかできないことがあります」

株式会社ヒーバックシステム 代表取締役 三宅龍二郎氏

ABOUT COMPANY

冷熱に関する高い技術力を持ち、冷却・加熱制御やシステム省エネ化を、
製造まで一貫して行える提案型エンジニアリング会社「株式会社ヒーバックシステム」。
中でも、±0.5℃という高精度な温度制御のオーダーに応えた空調システムは、
安定した恒温恒湿環境を実現する同社のオリジナル製品です。僅かな温度変化さえコントロール可能な、
その独自の世界を築き得た技術とは。その先にあるビジョンとは。代表取締役である三宅龍二郎氏にお話を伺いました。

大企業勤めから一転、さらなる高みを目指して。

大手設備工事会社において、特殊事例専任エンジニアとして長年ご活躍されていたという三宅氏。そこで培った豊富な知識や現場経験をベースに「ヒーバックシステム」をスタートさせたと伺えば、同社が実用性の高いシステム提供をモットーとしていることにも頷けます。「近年私たちが最も得意としている分野は、他社が容易に真似のできない“恒温恒湿空調”と呼ばれるものです」。三宅氏は起業当時の苦労話もそこそこに、“今”と“これから”について語り始めてくれました。

代表取締役 三宅龍二郎氏
代表取締役 三宅龍二郎氏

1/100mmの誤差さえ生まない、
±0.5℃の「恒温恒湿」環境。

「恒温恒湿空調」とは、一定の温度、一定の湿度に保たれた空間環境を、24時間365日保持し続ける空調のこと。精度の高い温度制御が要求されるそれらの空調は、「人」ではなく「機械・製品」が対象なのだと三宅氏は教えてくれます。例えば、多くの機器に使用されている「鉄」。一般的に、1℃変化すると1/100mm伸び縮みしてしまうのだそう。デジタル機器の高機能化が進む昨今、そうしたミクロの世界での高精度な加工がますます求められ、「当社はより多くのニーズに応えるべく、±0.5℃の温度制御が可能な空調システムを、早期から開発・商品化、その精度を徐々に高めてきました」。

「皆さんの身近なものを例に挙げると、スマートフォンのレンズを固定する部品には1,000分の数ミリ単位の緻密な金属加工が必要とされ、その正確性・再現性を確保するためには当社のような恒温恒湿空調が欠かせないんですよ」と、少し誇らしげに三宅氏は語ります。

ホワイドボードの書かれた恒温恒湿空調のシステム図
高精度の温度制御は長年培った知識と技術によるもの

空間の広さに左右されない。
それがもうひとつの強み。

そうした恒温恒湿環境を、検査ブースや実験室のような小規模スペースだけでなく、「工場まるごと」といった大空間でも実現できるのがヒーバックシステムのさらなる強み、と三宅氏は言葉を続けます。「これまでの当社の実績の中ですと、広さ640㎡、天井高7mの、大型クレーンの使用を伴うような組み立て工場内においても、設定温度±0.5℃以内のハイレベルな温度精度を達成しています」。これはつまり、広い工場内のどの位置で測定しても±0.5℃以上のズレが1年を通して発生しないということ。さらに、作業員がいない状態では±0.3℃まで精度が上がるのだと言います。「現在、これよりさらに広い900㎡の案件も進行中です。実は当社のシステムであれば、1,000㎡でも1,500㎡でも、ほぼ同レベルの恒温恒湿環境が提供できます。これは、今後もっとアピールしていきたい部分ではありますね」。

恒温恒湿環境を実現した大空間の写真
大空間においても恒温恒湿環境を実現

「空気を読む」ことが、
今の企業力につながった。

現システムの開発は失敗と検証の繰り返しであったと、三宅氏は当時を振り返ります。「恒温環境を作る上で最も重要なことは“空間全体に風を均等に送る”ことです。そこで当社は、空いている天井スペースを最大限に活用し、天井一面に送風口をパンチング。さらに、吹き降ろしたその風を室内に留めることなく外へ逃がす処置も施すことで、常に一定の温度の風を、一定の風量でムラなく分配し続けられる環境を作り上げました」。他社が容易に模倣できない理由も、そこにあるのだと言います。例えば、空間内の一部分の気温だけが、機械の発熱や作業員の体温によって上昇した場合でも、先述の気流設計と細分化した気温測定システムとを併せ持つ同社の空調であれば、ゾーンごとの高精度な温度コントロールが可能なのです。もちろんそこには、長年積み重ねてきたノウハウや技術が基盤となっていることは、言うまでもありません。

緻密に気流が設計された工場内の一角
緻密に気流が設計された工場内の一角

ニーズ以上の「揺るぎない環境」を、より多くの分野へ。

「時代の変化と共に、高い品質管理を求める企業様が増えてきた感覚はありますね」。特に、医療業界や自動車業界などは、その傾向が顕著とのことで、自社工場の恒温恒湿化を望むニーズが多いのだと言います。例え規模の小さな企業であっても、その会社自身の確かな技術力と、ヒーバックシステムの恒温恒湿環境が組み合わさることで、NASAやJAXAとも取引できる高精度な製品が生産できると伺えば、両企業の潜在能力に驚くばかりです。

「今は、そういったさまざまな既存ニーズに応えていくことを最優先に取り組んでおりますが、新しい分野に挑戦したいという思いもあります」。そう語る三宅氏が、今後参入したい業界としてあげたのは、「機械・製品」が対象ではない食品業界や薬品業界。衛生面の徹底した整備が進む食品加工工場では、カビの大敵である湿度コントロールが最重要課題なのだそう。さらに、そうした業界の中でも、より可能性を感じるのは中小企業とのつながりだと言います。「だからこそ、ジェグテックのようなマッチングサイトを有効に使い、具体的なニーズを互いに合致させながら、今後の事業展開に活かしていきたいと強く感じています」。

ホワイドボードを前に議論する三宅氏と社員の写真
多様なニーズに対応すべく技術向上の道は続く

FROM J-GoodTech

今回取材させていただいた株式会社ヒーバックシステム様は、
近年ますます需要が高まる、高精度な金属加工分野において、
なくてはならない「恒温恒湿」環境を実現し得る、世界的に見てもトップレベルの技術を持った企業様です。

日本の大手企業を支えているのは、中小企業の優れた技術であると言っても過言ではないですが、
まだまだ世の中で知られていない中小企業が数多くいるのも事実です。
今後もジェグテックでは、このような技術力や卓越したサービスを有する中小企業に焦点をあて、
より多くの企業様の目に触れるような活動を促進していきたいと考えております。

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