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IoT活用でスマートファクトリー化。
製造業全体の底上げを目指す。(後編)

旭鉄工株式会社 代表取締役社長 木村哲也 氏

ABOUT COMPANY

高い技術力でトヨタ自動車の一次下請けとして活躍する旭鉄工株式会社
主要取引先はトヨタ系列の大手企業が中心で、自動車を組み立てる上で欠かせない
エンジンやトランスミッションなどの部品を製造しています。
同社はモノやモノゴトをデータ化してインターネットで可視化する「IoT」の活用で生産効率を高め、
結果的に品質向上も実現。労務費を4年の間に年間2億円、設備投資も3年で4億円以上削減させました。
さらには、そのIoTシステムと同社が得た改善ノウハウを他社に提供するコンサルティング会社「i Smart Technologies」も設立。
旭鉄工株式会社の飽くなき挑戦と同社が取り組む製造業全体の底上げに向けての活動について、
代表の木村哲也氏や工場のみなさまのお話を、前編・後編にわたりお送りします。

大きな投資はせずに工場をスマートファクトリー化。その絶大な成果。

主にトヨタ系の工場に対して、自動車関連部品を製造・出荷する旭鉄工株式会社。生産効率向上の為に取り組んだのが、工場のスマートファクトリー化でした。「IoTというと、非常に多くのデータが必要で費用も膨大にかかるのではないかと思われがちですが、実はそうでもないんです。必要最低限のシンプルなデータだけで、生産性が飛躍的に向上します」と、木村氏は言います。実際、同社はスマートファクトリー化のコストを最低限に抑えるために、自分たちで秋葉原までセンサーを買いに行き、既存の機械に取り付けることで、機械の入れ替えなどをせずに改善に必要な数値を取ることに成功しました。

発生したときは原因をワンタッチで記録。通常作業にストレスをかけずに記録するのが魅力だ
発生したときは原因をワンタッチで記録。通常作業にストレスをかけずに記録するのが魅力だ

必要なのはシンプルな仕組み。
センサーやボタンをフル活用した工場。

工場見学をさせてもらうと、あちこちにセンサーやボタンが設置されていて、リアルタイムに稼働状況がデータ化されています。たとえば、IoTプラットフォームや関連デバイスを展開するSORACOMのボタンを活用した異常通知パネル。ボタンを押すだけでどんな種類の異常が起きたか記録することができます。これまでは「可動しているか・止まっているか」しかわからなかったところに「なぜ止まったか」まで記録できるようになって、改善に役立てることができます。同様に、スマートスピーカーに特定の言葉を話しかけると、作業の状況を自動で記録できる工程もありました。こういった記録作業は、今までであれば手書きやタブレットなどで行っていたそうです。しかし、それでは正確性を欠いたり、いちいち手袋を脱いだりする必要があり煩雑でした。今は押すだけ、しゃべるだけなので作業の邪魔になりません。また、ある機械の場合は、製造過程で近づく2つのパーツにそれぞれ磁気センサーを取り付けて、近づいた時間の間隔を計測しています。これによって、一定のサイクルタイムで機械が可動しているかを常時計り続けることができるのです。

スライドする2つの機械。磁気センサーを利用して、近づいた瞬間をセンシングしている。
スライドする2つの機械。磁気センサーを利用して、近づいた瞬間をセンシングしている。

現場で改善に取り組んだ社員たちが
コンサルタントとして全国を飛び回る。

当然、数値を取って満足しているわけではありません。データを元に効率化のための改善に取り組みます。「たとえばある溶接のレーンでは、元のレーンにもう1レーンを継ぎ足して、2倍の長さのものを作りました。最初のうちは当然2倍の時間がかかったわけですが、生産個数、サイクルタイム、稼働率など、必要なデータを収集して現状を把握し改善に努めた結果、4ヶ月で最初のレーンと同じ時間で2レーン分の作業が完了するようになりました。生産効率を2倍にしたということです」と、同社の近藤氏は語る。このように、実際に旭鉄工のスマートファクトリー化に取り組んだメンバーたちが、i Smart Technologiesのメンバーとして全国を飛び回り、導入支援を行っています。「これまで、試験導入も入れると全国で約180の工場で導入実績があります。そのうち200ラインでは、導入5ヶ月で工場稼働率は平均25%向上しました」と木村氏は語ります。

スマートスピーカーに話しかけると、各作業にかかった時間を自動で記録している。
スマートスピーカーに話しかけると、各作業にかかった時間を自動で記録している。

中小企業の生産性を向上させたい。

自社工場だけでなく、i Smart Technologiesを立ち上げて他社の工場の導入支援まで行う同社。その目的は「中小企業の生産性を向上させること」にあります。「自分たちが悩みながら構築し実績が出たシステムだから、きっと他の中小企業にも求められるし、製造業全体の底上げになると思った」と木村氏はいいます。単純にシステムの販売だけでなく、実際にクライアント先まで出向いてコンサルティングをする同社。自分たちも製造ラインに立っている人間だからこそ、各地の工場の悩みに寄り添って改善策を提案することができるのです。実際に、どの設備に何のセンサーをつければいいかを判断するには勘所が必要です。磁気センサーで測定できるもともあれば、光センサーのほうが適している場合もあります。日々の製造業務に追われていると、なかなか改善は難しいというのが実情です。そのため、実際にコンサルタントが出向いて伴走をする必要があるのです。

自動車部品が次々に生産されていく。
自動車部品が次々に生産されていく。

ともに製造業の底上げに取り組む仲間を募集

旭鉄工では、工場のスマートファクトリー化を進めてから3年で4億円以上の設備投資削減を実現、労務費も年間2億円低減させました。「これまでも改善に努めていた当社ですら、IoTを導入することでここまでの成果を出すことができたのです。いままでそういった取り組みができていないのであれば、相当の効果が出るはずです。1社でご相談いただくのが難しければ、同じ地域で複数社集まっていただき、双方の課題を見ながらみんなで改善に務める“持ち回り研修”という仕組みも作っています」と木村氏は笑顔で話します。「あとは、一緒にこのシステムを広めてくれる仲間がほしいです。たとえば、元々自動車の生産現場に立っていて、今は改善コンサルを行っている方々など。というのも、私たちは呼ばれれば喜んで全国を飛び回りますが、とはいえ人数が限られていますし、遠方のお客様だとその分コストが掛かってしまいます。ですので、全国にi Smart Technologiesの認定コンサルタントを生み出して、各地域の製造業の底上げに取り組んでいきたいです」とのこと。自社の成功事例を余すところなく公開し、日本全国の製造業支援に乗り出す同社は、熱意と活気に溢れていました。

旭鉄工のエントランスにはセンサーのデモ機が展示されている
旭鉄工のエントランスにはセンサーのデモ機が展示されている

FROM J-GoodTech

IoT技術の活用により、低予算でもスマートファクトリー化に成功した
旭鉄工から生まれたi Smart Technologies。
製造業から生まれたコンサルティング会社だからこそ、
製造業のことを理解して改善に伴走することができるのが同社の強みです。
自社工場で得たノウハウを惜しむことなく伝える姿勢は、
日本の製造業を変える起爆剤にもなりえます。

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これまで出会えなかった企業とのビジネスマッチングの機会が得られますので、
今後ともぜひジェグテックをご活用いただきたいと思います。

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