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「人がやっていないことをやってみる」
そのポリシーが社内も地域さえも変えていく。

深江化成株式会社 代表取締役 木村昌一 氏 / 営業本部 販売促進課 課長 青野哲也 氏 / 同課 アートディレクター 上久保訓 氏

ABOUT COMPANY

理化学用、医療用、工業用プラスチック製品の企画、開発を手がける深江化成株式会社
ライフサイエンス分野でのニッチトップの技術もさることながら、
国産へのこだわり、広報室の運用、ECサイトの活用など、他の中小企業には見られない経営手法も特長です。
今回は、そういった点にスポットを当て、代表取締役である木村昌一氏をはじめ、
営業本部販売促進課課長の青野哲也氏、同課アートディレクターの上久保訓氏にお話を伺いました。

ただ「いいもの」を作るために。

まずは、深江化成株式会社の製品作りにおける特長である「国産へのこだわり」について伺うと、木村氏は少し謙遜しながらも、「いいものを突き詰めた結果、国産が多くなったと言った方が正しいかも知れません」とおっしゃいました。「ですから、設備などものによってはスイス製があったりドイツ製があったりもしますが、ほとんどが国産なのは事実で、製品はもちろん自動機や金型などもできる限り自社で作るようにはしていますね。その方が圧倒的にうまく・安く・早くできますから」。また、いいものを突き詰めるもうひとつのアプローチとして、国内の大学との研究・開発も行っていると言います。「普段から大学に商品を販売していることもあって、大学とのつながりを築きやすいというメリットが当社にはあります。その点を活かして、大学教授と提携し、特許を取得して、実際に商品も販売している、といった取り組みは中小企業としては珍しいことのようですね」と同氏は語ります。

「人がやっていないことをやってみる」という考えのもと、木村氏(左から2番目)と社員の距離も近い
「人がやっていないことをやってみる」という考えのもと、木村氏(左から2番目)と社員の距離も近い

デザインの重要性は、
中小企業にも欠かせない。

2つ目の特長として挙げられるのが「中小企業ながらも社内に広報室がある」という点。一般的な中小企業には、広報を専業とした部署がない場合がほとんどですが、同社では2011年頃から広報に特化した販売促進課を設けています。「丁度その頃は、当社の“NEXTY”などデザイン性が高い商品の発表が続いた時期ですので、デザインにも力を入れていくべきという考えが社長の中で強まったのだと思います」と語るのは、同課でアートディレクターを務める上久保氏。それを受け木村氏が「単純に美しいものの方がいい、という思いがもともとありましたから」と話を続けます。「商品デザインはもとより、それを紹介するカタログ制作も社内で手がけていますし、さらには、事務所や工場のデザインまで、上久保をはじめとするアートディレクターが担当しています」。そうした思想は、実際に売上アップにもつながっているのだそう。
「よりよいデザインをする上で必要不可欠な商品知識は、営業部や技術部の力を借りながら3年程の時間をかけて習得しましたね」と、広報業務における他部署との連携の重要性も上久保氏は語ってくださいました。

営業本部販売促進課アートディレクター上久保氏
営業本部販売促進課アートディレクター上久保氏

ECサイトの活用や、
アウトレットWebショップの運営にも着手。

よりいいものを追求するものづくりの姿勢に加えて、作ったものの「売り方」にも特長がある同社。一般消費者向けではなくBtoBの商品であるにも関わらず、ECサイト(Amazon)を活用しているのだと言います。「当社のブランドの宣伝も兼ねてECサイトで販売し始めたのは最近ですが、徐々に主軸を切り替え海外での販路を拡大したいという狙いもあります。それと並行して自社サイトでの販売も行っていますが、そちらは訳あり商品を取り扱う製造元直販アウトレットショップという位置付けです」。ライフサイエンス分野でのアウトレット商品と聞くと、少し意外な印象を受けますが、その理由について木村氏は「当社の工場では100万個に数個の割合でしか不良品は出ませんが、その不良品にどんな問題があって、その問題点が使用上は全く影響がないこともすべて熟知しています。それであれば、そのまま処分してしまうのではなく、安く販売した方がお客様にとってもプラスになると考えたわけです」と、自社製品ならではの強みを語ってくれました。今では、わざわざアウトレット商品の在庫を問い合わせてくるお客様もいらっしゃるとのことです。

プラスチック微細加工の分野で非常に高い技術を持つ
プラスチック微細加工の分野で非常に高い技術を持つ

レストラン「深記」の経営で
広がりつつある地域との輪。

さらに、事業とは直接関係ないものの、同社の社風を語る上で外せない特長が「一般客にも開放している社員食堂」を経営しているという点。これは、いわゆる社食のイメージとは一線を画す本格的なチャイニーズレストランで、味も本場仕込みの絶品。「当社が立地する神戸市西区はまだ新しい町です。当社の社員にとっても、ここで暮らす地域住民の方にとっても、食事をする場所が圧倒的に足りていません。そこで、ないのであれば自分たちで作ってしまおうと思ったのがきっかけですね。しかも、やるからには納得がいく店にしたいと、構想に5年程かけ2017年7月に無事オープンを迎えました」。開店後間もなく話題の店となり、今では予約で満席になってしまうほどだとか。「新鮮な魚介類をわざわざ市場から仕入れたり、点心は皮から手作りしたりと、こだわりを持っていることもありおかげさまでご好評を得ていますが、ランチタイムは社員の利用を制限せざるを得なくなってしまったので、社員へは出前という形で対応しています」と嬉しい悲鳴も。

味ばかりでなく接客も心地いいレストラン「深記(しんき)」
味ばかりでなく接客も心地いいレストラン「深記(しんき)」

研究者のニーズの検証に、ジェグテックを活用。

「設計から生産まで一貫して行えるのも当社の大きな特長で、お客様からのご要望を短納期で形にすることが可能ですが、そのニーズ自体をいかに効率的に得られるかが近年の課題ではあります」と語る木村氏は、最後に今後の展開についてもお聞かせくださいました。「まさにジェグテックのようなビジネスマッチングサイトを有効利用して、ネットワークの幅を広げようと努めています。当社のお客様は研究者の皆様ですので、研究内容によってニーズも多種多様。もしかしたら、世界中でその研究をしている方お一人だけのニーズである場合もあります。しかしそれでは、商品化しても利益にはつながりません。ですから私たちは、研究者のニーズにキャッチアップするだけでなく、そのニーズを商品化した際に他のユーザーにも使ってもらえるかどうかを見極める必要があるのです。そのためにも、さまざまな分野のニーズを把握できるジェグテックは、大いに活用できるツールだと思っています」。併せてジェグテックの利用状況についても伺うと、「実際にビジネスにつながった事例はまだありませんが、ジェグテック上に掲載されていた2、3件のニーズに対してこちらからアプローチはさせていただきました。残念ながら商談には至らなかったものの、先方からのご返答もスムーズで、ニーズさえ合致すれば商談に進める手応えは感じましたね。また、中小機構主催の展示会で国内の中小企業の方から声をかけていただいたのをきっかけに、当社の商品をテスト使用していただいている段階の案件もあります」と非常に前向きなコメントをいただきました。

上久保氏がデザインし、施工も社員で手がけたという事務所
上久保氏がデザインし、施工も社員で手がけたという事務所

FROM J-GoodTech

高い技術はもちろんのこと、商品の新たな売り方や類を見ない福利厚生など、
多彩な特長を持った「深江化成株式会社」。
「人がやっていないことをやってみる」という理念のもと、
さまざまなことにチャレンジする姿勢には、見習うべき点が多くあるように感じました。

同社のように、日本の中小企業には優れた技術や考え方を持った企業が多数存在していますが、
まだまだ世の中に知られていないのも事実です。
今後もジェグテックでは、このような特徴的な中小企業に焦点をあて、
より多くの方の目に触れるような活動を促進していきたいと考えております。

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