エシカルの意義とは
エシカルは「倫理的な」と訳される英語のethicalを、そのままカタカナに置き換えた言葉です。持続可能で倫理的な商品やサービスに関する情報を提供する、英国の雑誌「Ethical Consumer」が1989年に創刊されて以降、人や社会、環境、地域に配慮した消費行動がヨーロッパを中心に広がり、エシカル消費と呼ばれるようになったと言われています。
エシカル消費は主に、環境に配慮された消費、社会に配慮された消費、地域に配慮された消費の3つに分類できます。
環境に配慮された消費は、環境への負荷ができるだけ小さい製品を、負荷の低減に務めている事業者から購入することなどを指します。
社会に配慮された消費には、低賃金の強制労働や児童労働で作られていない製品を選ぶことなどが含まれています。途上国の生産者と先進国の消費者が、対等な立場で貿易を行うフェアトレードも、社会に配慮された消費にあたります。
地域に配慮された消費の代表的なものは、地元で生産されたものを地元で消費する地産地消です。伝統的な技法で作られた工芸品などもエシカルな製品と言えます。
このように、エシカルは環境や社会、地域の課題を解決する消費行動として、すでにヨーロッパでは定着しています。
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ヨーロッパにおけるエシカルをめぐる規制
日本の企業がこれからヨーロッパへの進出を検討する際に、大企業から中小企業まで事業の規模を問わずに注意しなければならない点があります。それは法整備が進み、企業への規制が次々と打ち出されていることです。
欧州連合(EU)では、企業サステナビリティ報告指令(CSRD=Corporate sustainability reporting directive)の適用が、一部の企業で2024年1月から始まりました。これはEU域内の大規模な上場企業や金融機関などに対して、環境保護や人権への影響、ガバナンスなどに関する情報の開示を義務付けるものです。
CSRDの適用企業は今後拡大されることになっていて、日本を含むEU域外の企業も段階的に対象になることが決まっています。大企業に該当する子会社がEU域内にある場合は2025年1月から、上場中小企業に該当する子会社がある場合には2026年1月から適用されます。さらに、EU域外の企業でも、域内における売上高が一定の額を超えた場合は、2028年1月以降に適用されることになりました。
その他にも、サステナブルな製品に関する規制や、グリーンウォッシュ規制などが導入されています。グリーンウォッシュは気候変動対策に取り組んでいるように見せかけるものです。2026年までに根拠が正確なものであると証明できない限り、エコなどの商品宣伝を使うことが禁止されることになっています。
日本市場におけるエシカルの現状
日本ではエシカルをめぐる法規制などはないものの、エシカルを取り入れた製品やサービスの開発に取り組む企業は、徐々に増えつつあります。その背景には、日本でも一般の消費者にもエシカル消費への関心が高まっていることが挙げられます。
電通が実施した「エシカル消費 意識調査2022」によりますと、「エシカル消費」の名称を知っている人の割合は41.1%で、2年前の調査に比べると17.1ポイント増加しました。
エシカル消費への関心度は全世代で15.3%にとどまったものの、エシカル消費の具体的な内容を知った後では、43.9%の人が「日常生活に取り入れたい」と回答しています。
特に、16歳から24歳のZ世代の関心度が、他の世代に比べて高くなっています。エシカルな製品やサービスのニーズは、国内でも今後高まってくることが予想されます。
企業がエシカルに取り組むメリットとは
企業にとっても、エシカルに取り組むことで、さまざまなメリットが得られる可能性があります。
まず、製品やサービスがエシカルであることは、その企業の付加価値と見なされることから、ブランドイメージの向上や、競合する他社との差別化を図ることができます。
また、エシカルな製品やサービスを新たに開発することで、従来は取り込めていなかった新たな顧客を獲得できる可能性もあります。これまで述べてきた通り、市場を海外に広げることもできます。
さらに、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の3つの要素を重視するESG投資が拡大していることから、投資家や金融機関から、投資や融資を受けやすくなるケースもあります。
企業がエシカルに取り組むことを検討する際には、自社にとってのエシカルが何かを整理することが必要です。その上で事業として進めることで、新たなビジネスチャンスを生み出すことにつながるのではないでしょうか。
ジェグテックではエシカル製品の調達などを検討している国内外商社とのマッチングなどを行っています。商談会なども開催していますので、ぜひご活用ください。