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国内・海外市場動向

オープンイノベーションで
新しい可能性を模索するキリン株式会社。

キリン株式会社 R&D本部研究開発推進部 津田 秀樹 氏 人見 能貴 氏 川羽田 守 氏

ABOUT COMPANY

キリンホールディングスで国内の酒類・飲料事業を担う「キリンビール」、「メルシャン」、「キリンビバレッジ」。その3社を統括する
中間持株会社として、2013年にキリン株式会社は設立されました。そこには基礎研究から技術開発までを行う6つの研究所があり、
それぞれの研究開発が円滑に進むように支援する研究開発推進部という部署があります。そこで積極的に取り組んでいるのが、
他社や他の組織と連携して研究開発し、成果の創出をめざす「オープンイノベーション」。キリン株式会社では、
なぜオープンイノベーションに取り組むようになったのか。そのパートナーとして、中小企業にどんな期待をしているのか。
研究開発推進部の皆様にお話をうかがいました。

オープンイノベーションは、研究開発のスピードや質を高めるために。

2013年にキリン株式会社が発足するまでは、キリンビール、メルシャン、キリンビバレッジそれぞれに研究所があり、各事業のための研究開発を行っていました。しかしそこに限界を感じ、一つの技術を他の事業でも使えるように研究開発部門を1ヶ所に集めたそうです。「ちょうどそのころオープンイノベーションという考え方も普及してきて、スピードや質を高めるために意識しはじめました。オープンイノベーションは、研究開発の成果ももちろんありますが、今までにない会社や研究所とおつきあいすることで、自分たちの企業文化を変える意識改革のような成果もあると思います」(津田氏)。

オープンイノベーションに取り組むようになった経緯を語る津田氏(左)
オープンイノベーションに取り組むようになった経緯を語る津田氏(左)

お互いに役立つパートナーであれば、
大学でも、研究機関でも、中小企業でも。

6つの研究所でそれぞれ独自に研究開発を行ったり、もともとつきあいのある外部組織と協力して研究開発を進めることもあったりするそうですが、「そうした独自の研究開発や、研究所の既知の繋がりだけでは解決が難しい場合、私たち研究開発推進部が新たに協力機関との連携を模索し、支援しています。相手先にこういう企画の研究開発を進めてほしいというアイデアを持ち込んで、先方で研究開発してもらうこともありますね」(人見氏)。研究員が約300人いるので、必要な技術もバラエティーに富んでいるため、連携先も千差万別。大学や国、民間の研究機関などもありますが、中小企業やベンチャー企業もけっして珍しくなく、内容によって「お互いに役立つパートナーであれば、誰でもいいと思っています」(津田氏)と、まさにオープンなスタンス。そのようにオープンイノベーションに取り組み、うまくいった研究開発の成果は、キリンビール、メルシャン、キリンビバレッジ各社の実際の現場で使われています。

研究開発推進部の役割を説明する人見氏
研究開発推進部の役割を説明する人見氏

各開発プロセスでベストなパートナーと
連携して特殊なペットボトルを開発。

オープンイノベーションの具体的な例として挙げられるのが、「DLC(ダイヤモンドライクカーボン)コーティング」の開発。ペットボトルの内側に炭素の薄膜を形成し、外と中との通気性を遮断してガラスに近い性能を持たせる技術で、一部のお茶飲料やビール、酸化防止剤無添加ワインなどに使われています。基礎研究、応用研究、製造設備開発など各開発プロセスごとにベストなパートナーと組み、各企業と協力しながら開発を進めたそうです。「開発当時、協力企業の中には社員数30人ぐらいのベンチャー企業や中小企業もありました。現在では、そのときのいくつかのパートナー企業と共同で特許を持ち、事業にもしています。開発をスタートしたころは、まだオープンイノベーションという言葉もなかったですが、振り返ってみればその走りだったと思いますね」(津田氏)。その特殊なペットボトルの開発を皮切りに、現在もいくつものオープンイノベーションが行われています。

赤ワインのペットボトル容器に採用されたDLCコーティングの概要を説明する図
オープンイノベーションによって開発されたDLCコーティング

自前の技術だけではないからこそ
期待できる新しい可能性。

キリンでは外部組織との連携だけでなく、各研究所同士が連携するグループ内オープンイノベーションも行っていて、グループを横断した交流会や研究成果を共有する発表会も定期的に開催し、活発な意見交換も行っています。オープンイノベーションは自分たちが持たない技術を使って開発を進められるので、スピードや質の向上につながるというメリットがある一方で、外部組織と連携の際にはそれぞれの文化や考え方にズレを感じることも。意図がうまく伝わらなかったり、逆に相手の意図を理解できなかったりしたこともあるそうですが、「最初はコミュニケーションが難しくても、そこを調整できればメリットは大きいと思っています」(人見氏)。また、今後について尋ねると「今持っている技術以外のところにアプローチができるので、新しい事業への展開を期待しています。今後は、ヘルスケアの分野で新しいことをしたいですね」(川羽田氏)と抱負を語っていただきました。

今後の抱負を語る川羽田氏
今後の抱負を語る川羽田氏

連携するときは、中小企業とも対等な関係で。

オープンイノベーションを進める上で、他の組織と連携を図るためにジェグテックも積極的に活用。ニーズを発信し、それに対する提案を多くの企業から受けています。「そこでの提案については当初のニーズだけではなく、他の課題解決への応用も考えながらお話を伺います。これまで知り合えなかった企業を紹介いただけるので大変助かります」(人見氏)。求める技術さえあれば、会社の規模は関係ない様子で「ときどき中小企業の方で大企業相手だと怖いとおっしゃる方もいますが、こちらとしてはお互いにフェアな関係で、一緒にお話させてもらえればと思っています」(津田氏)と、あくまで中小企業とも対等な関係での連携を望んでいました。中小企業に期待することは、その会社でしかできないような特長的な技術、そしてその技術をどのように生かせるかまで提案してもらえるとイメージが湧きやすいとのこと。「そのときにアイデアを見せるリスクを感じられる方もいて、そこが難しいですね。だからジェグテックのような組織が間に入ってくれて、お互いに対等な関係の中で、一緒に研究開発を進められるようになるといいと思いますね」(津田氏)と今後の課題も語っていただきました。

インタビューに応える津田氏、人見氏、川羽田氏

FROM J-GoodTech

オープンイノベーションに積極的に取り組んでいるキリン株式会社様は、
お互いを補完し合うパートナーとして中小企業との連携も視野に入れ、ジェグテックを活用されています。
プロジェクトに応じてジェグテックでニーズ情報を発信し、提案を受けて実際に商談へと進んだ案件もございます。

ジェグテックではキリン株式会社様のように、本サイトの趣旨にご賛同いただき、
その活用を表明していただいている大手企業の皆様に「J-GoodTech大手パートナー企業」として
ご登録いただいております。登録された中小企業同士のビジネスマッチングだけでなく、
キリン株式会社様のような大手パートナー企業様のニーズ情報も得られます。
費用負担もなく気軽にはじめることもできますので、今後ともぜひジェグテックをご活用ください。

幅広く事業展開を目指す企業の方は、
ぜひジェグテックをご活用ください。

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