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[J-GoodTech特集記事]
未来が変わるビジネスマニュアル
中小企業最前線

第4回テーマ「サステナビリティ/SDGs」
「サステナビリティ」対応で企業価値の向上と事業機会の拡大を

「中小企業最前線」は、産業界で話題のキーワードをテーマとして取り上げ、
各テーマが中小企業に与える影響や考えられるビジネスチャンスなどを交えて説明する連載シリーズ。

今回のテーマは、「サステナビリティ(sustainability)」です。
聞いたことはあっても、その内容をきちんと把握している人は少ないのではないでしょうか?
ですがこのサステナビリティ、今やビジネスにとって非常に重要な意味をもつだけでなく、
世界中の国とあらゆる企業や組織、そして私たち一市民にまで深く関連のあるキーワードになっています。
気づけば自分だけが取り残されていた……なんてことにならないよう、
この機会にしっかりとその意味や展望を理解しておくと、今後のあなたのビジネスにきっと役立つことでしょう。

企業価値の向上と直結する「サステナビリティ」

「持続可能性」などと訳される「サステナビリティ」は、地球の自然環境や人間社会と調和した持続可能なシステムを構築しようという意味合いで用いられることの多い言葉です。その範囲は、“環境”のみならず“社会”とのかかわりという視点、さらに“経営”面での健全性も含まれます。
同じ文脈でよく使用される「CSR(corporate social responsibility)」は、企業の利益還元という考え方が根強く、利益を生み出すという企業本来の目的からすると、コストとして捉えられる傾向もありました。一方、「サステナビリティ」の考え方は、事業活動そのものが持続可能な社会の実現に役立つこと。利益の追求や事業の拡大と社会貢献を同時に達成することを求める側面が強くなっています。

現在は、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)といった、まさしく「サステナビリティ」への対応を投資の判断基準とする「ESG投資」が世界的なムーブメントとなり、2017年には世界の投資市場の約4分の1を占める巨大市場に成長しています。つまり、社会的な責任を果たすことはコストどころか、企業価値の向上に直結する時代になったといえるでしょう。

企業に求められる「サステナビリティ」対応とは

そのような中で、とりわけ企業に求められる「サステナビリティ」とは何でしょうか?

具体的には、2015年に国連が示した国際目標「SDGs」への取り組みなどが挙げられます。人類存続の驚異となりうる課題を17分野に分類し、それぞれに対する努力目標を示した「SDGs」。企業が「サステナビリティ」対応を進める際は、この「SDGs」の17分野それぞれに対する働きかけをはじめ、水質・土壌・大気汚染や森林伐採・生物の乱獲など環境破壊につながる恐れのある事業活動をしないこと、サプライチェーン全体で人権を尊重した事業活動を行うことなどが考えられます。

こう聞いて「大企業にしか関係ない」と考えてしまう人は、ひょっとするとその先の大きなビジネスチャンスをふいにしているかもしれません。

例えば海外では、年間売上高約3000万ユーロの繊維メーカーがフェアトレードによるオーガニック素材の調達を推進し、組織とサプライチェーンの透明性を高めるなど「サステナビリティ」への取り組みを事業活動の中心に据えた結果、同30億ユーロに及ぶ国際的企業連合創立のきっかけを作った──というような例があります。

国内に目を向けても、「衛生・環境・健康」をテーマに独創的な商品やサービスを提供する化学品メーカーのサラヤは、ウガンダやカンボジアなどの途上国における衛生向上のためのプロジェクトを推進。現地での販路拡大にもつながったこの取り組みは、第1回「ジャパンSDGsアワード」でSDGs推進副本部長(外務大臣)賞も受賞しています。

そもそも日本企業は、汚染物質の浄化技術や、風力・水力・地熱・バイオマスなどの再生可能エネルギーの活用に関連する技術、環境負荷物質の排出量を低減する素材・技術の開発などに強い。これらはいずれも「サステナビリティ」の実現に貢献する事業であり、今後その付加価値やそうした技術に対する社会からの要請はさらに高まっていくことでしょう。

このように自社技術や製品を「サステナビリティ」に活かすという方法のほかに、今後「サステナビリティ」対応を厳格化していく大企業から選ばれる企業になる──というアプローチもあります。事実、大企業のサステナビリティ対応は今、世界中で加速しています。

大企業や国などもサプライヤー管理を徹底

米国のApple社は、サプライチェーン全体の従業員の生活改善と地球資源の保護を自社の責任として定め、その活動をサプライヤー各社と協力しながら推進しています。つまり、Apple製品の素材を調達・提供する企業や、加工・組み立てを請け負う企業、販売・物流・アフターサービスを担当する企業まで、Appleの事業と関わる企業にはすべてサステナビリティ対応が求められているわけです。

こうした流れはビジネス界にとどまりません。
2021年に開催予定のオリンピック・パラリンピック東京大会では、「持続可能性に配慮した運営計画」が掲げられ、調達に関する厳格な基準が定められています。このように世界的なイベントや、それを手がける行政組織・各国政府などが、サステナビリティ対応を求めるという動きは世界で拡大中です。
その対応を優先課題としていかに取り組めるかが、企業の事業機会とも深く結びついていることがわかると思います。

事業の棚卸しが「サステナビリティ」へのファーストステップ

さて、全世界がサステナビリティの実現に向けて走り始めた今、中小企業は何から取り組めばいいのでしょうか?

まずは「SDGs」の17分野と、それをさらに細分化した169のターゲットを眺めてみましょう。それらと自社の技術や商品・製品とのつながりを考えてみる。これは、いわば自社の事業の棚卸しのようなものです。
「SDGs」では、理想の未来像から逆算して今やるべきことを考える「バックキャスティング」という考え方が推奨されています。この新たな考え方で自社を見直してみること自体が、自社の強みや潜在能力の再発見につながるということもあるかもしれません。

国も2016年に「持続可能な開発目標(SDGs)推進本部」を設置し、民間企業がイノベーションを生み出すための支援や環境整備に取り組んでいます。こうした国と世界のトレンドに乗り遅れないよう、今から自社なりのサステナビリティ対応を進めていくことで、新たなビジネスの種を探してみてはいかがでしょうか。

SDGsの17分野
SDGsの17分野

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今回の「中小企業最前線」はいかがでしたでしょうか。
本シリーズでは、今後もさまざまな業界を取り巻く話題のキーワードを切り口に、
ビジネスのヒントとなる情報をみなさまに提供していきます。

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「サステナビリティ」に取り組んでいる企業

  • サラヤ株式会社

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    世界の衛生・環境・健康に貢献しています。

  • 株式会社山下工芸

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    事業活動を通じて、環境保全・福祉など社会とともに持続的に成長するためのビジネスの構築に、真摯に取り組んでまいります。

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    株式会社箭木木工所

    「人・家具・環境」の調和 それが我々の使命です。

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  • 株式会社コア・エレクトロニックシステム

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    地球と人に優しい企業造りをモットーに電気・電子機械器具のフィールドサービス事業を通じて社会貢献しています。

  • 株式会社スリーハイ

    株式会社スリーハイ

    夏のオープンファクトリー/スリーハイ弟子入り道場「ヒーターコースターをつくろう」

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