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SDGsはこれからのビジネスのヒント

中小企業のためのSDGsビジネス入門 ①

持続的な開発目標を指すSDGsは、メディアなどで近年盛んに取り上げられるようになりました。
中小企業の皆さんはどのような印象を持っているでしょうか。

SDGsはよりよい未来を作ろうと、
2030年までの世界共通の国際目標として、2015年に国連で決まった17の目標のことです。
目標達成のためには企業が果たす役割も大きく、
巨大な規模で新たなビジネスが生まれる可能性も指摘されています。

しかし、日本ではまだまだ「自社のビジネスとは関係がない」と考えている企業が少なくありません。
SDGs自体に対する理解も十分とは言えず、仮に自社のビジネスと目標に密接な関係があったとしても、
気づかないことでビジネスチャンスを逃す可能性もあります。

このコラムでは、中小企業がビジネスとしてSDGsに取り組むヒントについて考えていきます。
1回目はSDGsに対する中小企業の認知度と、ビジネスとして取り組む意義についてお伝えします。

ダボス会議でSDGsの市場規模は世界で12兆ドルと報告

SDGs(Sustainable Development Goals)は持続可能な社会を実現するために、2015年に国連で採択された2030年までの世界共通の国際目標です。2000年から2015年まで実施されたMDGs(Millennium Development Goals=ミレニアム開発目標)の後身として策定されました。発展途上国をターゲットにした国際目標のMDGsに対して、SDGsはより広い社会問題や、環境問題の解決をゴールにしています。

SDGsは「誰一人取り残さない」という基本理念のもとで、持続可能な世界を目指すための17の目標が設定されています。以下に列記した17の目標を読むと、幅広い分野にわたることが分かります。

これらの目標は、持続可能な社会を実現する上で不可欠なものです。先進国、新興国、途上国が連携すると同時に、国だけでなく企業、NPO、個人があらゆる垣根を越えて協力し、ともに取り組むことが求められています。

企業にとっては、現在抱えている社会問題や環境問題を解決することで、持続可能なビジネスを実現することが可能になります。SDGsの17の目標を達成することによって、新たな成長の機会が生まれ、莫大な経済効果があると考えられています。

世界経済フォーラムの年次会議であるダボス会議は2017年、SDGsを達成することで12兆ドル(日本円で約1300兆円)もの新たな市場機会を生み出すとする試算を発表しました。また、コンサルティングファームのデロイトトーマツも同じ2017年に、それぞれの目標別の市場規模を70兆円から800兆円程度と試算。SDGsが大きなビジネスチャンスをもたらすと報告しています。

認知度は高まったが実践する中小企業はまだ少数

SDGsについては日本でも大企業を中心に関心が高まっていますが、中小企業にはまだ浸透しているとは言えないようです。実情を表したデータに、一般財団法人日本立地センターと経済産業省関東経済産業局が2018年10月と2020年11月に実施した、「中小企業のSDGs認知度・実態等調査」があります。

この調査は、関東経済産業局管内の1都10県(茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、山梨県、長野県、静岡県)に本社を置く、従業員300人以下の中小企業500社を対象に行われました。2度の調査を比較した結果が、2021年7月に公表されています。

調査ではまず、SDGsの認知度と、取り組みの状況について聞いています。SDGsについて認知している企業は、2020年は50.4%と半数を超えました。2018年の調査では15.8%だったことから大幅な増加であり、認知度についてはこの2年間で急速に高まっていることが分かります。

図表:2020年度 中小企業のSDGs認知度・実態等調査 概要版 2021年7月一般財団法人日本立地センター図1より転載

ところが、実践している企業になると、割合は低くなります。認知していると回答した企業のうち、「すでに対応・アクションを行っている」企業は2018年が1.2%だったのに対し、2020年は3.4%。「対応・アクションを検討している」は2018年が0.8%、2020年は4.8%でした。それぞれわずかに増えてはいるものの、まだまだ少ない状況です。

2020年の調査では、取り組みの検討を行っていない企業が91.8%を占めています。認知度の向上に比べると、実践への動きはまだまだ限定的と言えます。

SDGsに取り組む企業でもビジネスへの活用は進まず

では、2020年の調査でSDGsに既に取り組んでいるか、または検討していると答えた企業は、具体的にどのような取り組みを進めているのでしょうか。「すでに対応・アクションを行っている」と答えた企業は17社、「対応・アクションを検討している」と答えた企業は24社で、合わせて41社です。調査ではこの41社にSDGsに対する意義について、複数回答可で聞いています。

回答は多い順に「企業の社会的責任において重要である」が56.1%、「企業の持続的発展において重要である」が48.8%、「取引先の新規獲得など、ビジネスチャンスの拡大に資する」が41.5%でした。続いて「企業価値の向上において重要である」が36.6%、「社外ステークホルダーとの連携強化において重要である」が31.7%となっています。

図表:同上図2より転載

SDGsの取り組みを進めているか、または検討している企業は、社会的責任や自社の持続発展を意識すると同時に、SDGsに取り組む取引先と連携する上で、必要に迫られていることも窺えます。

ただ、具体的な取り組みとなると、多くの企業が取り組みの初期段階にとどまっているようです。同じく複数回答可で具体的な対応・アクションについて聞くと、最も多かった回答は、「SDGsについて理解するための情報収集・勉強等を行う」の51.2%でした。

次いで「SDGsへの対応を自社の経営計画・事業計画等に反映する」と「本業を通じて社会課題解決に取り組む」が31.7%。「本業以外(CSR活動等)による社会貢献等に取り組む」が26.8%、「SDGsのゴールに合わせた自社の取り組みのマッピングを行う」が22.0%と、多くの企業が社会貢献を意識していることが分かります。

一方で、「SDGsを新規事業の立ち上げや新商品・新サービス開発等に活用する」と答えた企業は14.6%。「専任の担当部署・セクションを立ち上げる」と答えた企業は7.3%にとどまり、実際に自社のビジネスとしてSDGsに取り組もうとしている企業は、現段階ではごくわずかでした。

この結果から、SDGsをビジネスとして取り入れようとしている企業は少なく、まだまだ「見返りを求めない社会貢献」といったイメージでとらえている企業が多いと言えそうです。

中小企業がSDGsに取り組む上での課題は

なぜ中小企業はSDGsをビジネスと捉えられていないのでしょうか。2020年に実施した調査ではSDGsに取り組んでいる41社に、感じている課題について複数回答可で聞いています。

最も多かった回答は「社会的な認知度が高まっていない」の39.0%。次に多かったのが、「取り組むことのメリットが明確にならない」と、「具体的な目標•KPIの設定が難しい」の24.4%でした。

図表:同上図5より転載

このほかにも、「取り組むための資金や人員が不足している」「行政による支援・関与が希薄である」「社会の理解度が低い」といった課題が目立ちました。こうした回答からは、SDGsに取り組んではいるものの、企業がメリットを感じることができていないと言えそうです。

一方で、まだSDGsに取り組んでいない残りの459社には、SDGsに対する印象を聞いています。7割弱の企業が重要性や必要性を認識しており、「自社には無関係」と答えた企業は3割強にとどまりました。

しかし、重要性や必要性を認識している企業に取り組まない理由を聞くと、「取り組む余裕がない」が37.0%で最も多く、「自社の事業活動に比べると優先度は低い」の15.9%が続きました。持続可能なビジネスを実現するために、優先すべき取り組みだと捉えられていません。また、「何から取り組めばよいかわからない」と回答した企業も10.7%あり、そもそもビジネスと結びつけて考えられていないようです。

SDGsに取り組むことで中小企業が得られるメリット

現状では中小企業の多くがSDGsに取り組むことができていません。約半数の企業がSDGsの社会的な責任については理解しているものの、自分たちには必要がないと考えている企業がまだまだ多いのではないでしょうか。

SDGsはすべての企業に関係する問題であり、中小企業も例外ではありません。SDGsをビジネスに取り入れることで、企業の価値が向上するなどのメリットがあります。

また、社会問題を解決するソーシャルビジネスや、地球環境、人、社会、地域などに配慮したエシカルビジネスに取り組むことで、新たな市場も開拓できます。

ただ、何から、どのように取り組めばいいのかについての情報が不足しているために、中小企業はSDGsになかなか踏み出せていないと言えそうです。

SDGsの17の目標には、自社のビジネスの視野を広げ、新たなビジネスを生むヒントが含まれています。しかも、自社や国内だけで取り組むのではなく、グローバルな市場でパートナーシップを組んでビジネスを生み出すことが可能になります。次回は、新たなビジネスの創出という観点から、世界の中小企業が進めているグローバルなSDGsビジネスについて考えてみます。

幅広く事業展開を目指す企業の方は、
ぜひジェグテックをご活用ください。

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