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マッチング成功事例

独自の技術で特色あるナノ粒子を生成
大きさや形状をコントロールする技術に強み

株式会社希少金属材料研究所 代表取締役社長 石川 雄一 氏 / 主任研究員 芝 文雄 氏

ABOUT COMPANY

金属、金属酸化物などの微細粒子(ナノ粒子)を活用した機能性材料を製造、販売している希少金属材料研究所
ナノ粒子は、大きさや形状によって独特の性質を持つようになるため、
それらをいかにコントロールして生成できるかが技術のカギになります。
他にはないオリジナルの生成技術を求めて、全国の大手企業から多くの引き合いがある希少金属材料研究所。
同社の技術の特徴とこれからの展望について、代表取締役社長の石川 雄一氏と主任研究員の芝 文雄氏にお話を伺いました。

ナノ粒子の生成技術を
独自に追求したい

ナノ粒子の材料が市場に普及しない大きな理由として、価格が高すぎるということを感じていた石川氏。国内の産業が衰退していく中で、材料の分野で日本独自のものを安価に提供していきたいと思っていたと言います。「ナノ粒子はその製造過程が各社オリジナルのものになるので、なかなか真似することはできません。製造装置も自分たちで作っています。ナノ粒子の生成技術は料理と似ていて、ちょっとしたノウハウだったり、付け足すものをちょっと変えたりするだけで全然違ってくるんです。そういったものを独自に追求するために、この会社を設立しました」と石川氏。機械製品などは、ものを買ってきて分解すれば、ある程度仕組みが分かりますが、ナノ粒子は物質を見ても作り方は分かりません。なので、論文発表や特許申請など、わざとしない場合も多いのです。「知財戦略はさまざまな方法があります。いかに知恵を絞って手頃な価格で実現するか。そこが勝負どころですね」。

代表取締役社長 石川 雄一氏
代表取締役社長 石川 雄一氏

液相法で粒子の大きさと形状をコントロール

希少金属材料研究所の強みは、液相法という技術を用いて、粒子の大きさと形状を高いレベルでコントロールできるところにあります。こうして生成されたナノ粒子は独特の性質を持つようになります。例えば、「銀サブミクロン粒子」という0.1〜0.3ミクロンの大きさの製品。銀の融点は普通の個体だと961.8℃なのですが、銀サブミクロン粒子になると、200〜250℃で溶けるのだそう。この性質は太陽電池用の集電体配線のスクリーン印刷による微細配線での利用や、SiC(シリコンカーバイド)パワーモジュールの部材を接合するのに最適なのだと言います。
「ナノサイズといった小さなものや、1ミクロン以上の大きなサイズは、比較的簡単に作れるのですが、このサブミクロンという中くらいのサイズは、意外と作るのが難しいのです。また形を板状にしたり、ひも状にしたり、針状にしたりすることでも特徴が変わってきます。素材の性質と形状の性質の組み合わせで用途が決まってくるのです」と芝氏。他にも、特徴のある粒子を数多く開発しています。「銀ひも状粒子」は、希少金属材料研究所が世界で初めて開発したもので、殺菌フィルターの用途として期待されています。また、「導電性グラフェン」は、耐酸性、耐アルカリ性、耐熱性、耐酸化性に優れており、独自の製法によって非常に安価に提供することができるようになっています。

銀サブミクロン粒子
銀サブミクロン粒子

光がなくても消臭できる触媒

今、大きな期待を寄せているのが、光がないところでも消臭効果を発揮する触媒「タングステン酸アンモニウム」です。「触媒とは表面で反応させるものなので、いかに表面積を大きくするか、つまり、いかに粒子を小さくできるかで性能が変わってきます。この粒子を小さくする技術でも弊社は強みをもっています」と芝氏。消臭剤として主に使われる材料として「酸化チタン」がありますが、これは紫外線がないと反応しないため、太陽光の下でしか使えません。しかし、独自に開発したタングステン酸アンモニウムは光がなくても反応し、さらに家の電灯などの可視光があれば、より触媒効果が高まると言います。現在、この材料を使った消臭機能付き製品を、衣料分野に強みを持つ株式会社LAPOと共同開発をしています。実は、LAPOはジェグテックを通してつながった会社で、今は同じビルに同居しています。「製品化には膨大な作業が必要で、密にコミュニケーションをとって進める必要がありました。これまで1000以上のサンプルを作成し、やっとさまざまな条件をクリアできつつあります」と石川氏は話します。

無光触媒分散液(15%濃度)
無光触媒分散液(15%濃度)

カーボンの燃料電池を
開発したい

電池材料として「酸化タングステン」や「酸化モリブデン」のナノ粒子の提供も行っています。また、電池の劣化度合いを評価する受託事業も進めているとのこと。こういった研究を進めていく中で、材料の特性をどうすればいいのか分かってきたと言います。
「まずは亜鉛での材料開発に着手しています。粒子の形状とサイズの精度を上げていこうとしていますが、発表するタイミングを見ているところです。そして、ゆくゆくはカーボン燃料を原料に用いた燃料電池を開発したいと思っています。理論的には可能ですし、開発できれば本当の低炭素社会が実現できるはずです」と石川氏は熱く語ります。

電池の特性解析 フィティング結果
電池の特性解析 フィティング結果

初期研究費用をもらわない理由

同社の大きな特徴として、初期研究費用を必要としないとうたっているところです。その理由を石川氏は次のように話します。「初期段階でお客様の負担をあまり大きくしたくないという思いがありました。価値があると分かったら、大量に発注してくれればいいと。あくまで私たちは、材料の製造販売がメインだと考えていたのです」。ところが、試作品を開発し、提供するだけでは、なかなか売り上げ増につながらず苦労したのだそう。なぜなら、お客様はその材料を使って製品化に向けた研究開発が必要で、大量の注文をもらえるようになるまでには、さらに数年レベルで時間がかかるからです。今では、販売が伸びている材料も出てきており、さらにそれを増やしていきたいとのこと。また、お客様が素材を使いこなせるかどうかも、大きな問題だと分かってきました。「お客様にも機密があるので、その材料の利用目的をはっきりとは言ってくれません。本来の効果を出すためには、材料をそのまま使うのではなく、用途に合わせた工夫が必要になることが多いのですが、お客様がどこまでそれを理解されているのか分からないのです。効果が出ないとクレームをいただくこともあるのですが、使い方が間違っている場合も多くあります。そういった活用ノウハウのレクチャーなども今後は視野に入れていきたいと思っています」。お客様の要望に合わせて開発するため、汎用品はないと言います。とはいえ、なぜ、このような独自の技術を開発することができるのでしょうか。「ダメだと分かっていてもとりあえずやってみようという意識で、まずは試してみることが大切です。失敗もたくさんありますし、トライしていく中で発見しているのがほとんどかもしれないですね」と芝氏はその理由を話してくれました。

膨大な量のサンプルを試す
膨大な量のサンプルを試す

共同開発ができる会社とつながりたい

大手企業からの引き合いも多いとはいうものの、まだまだ販売力が弱いのが課題だと芝氏は話します。「どうしても作る側の理屈しか分かっていないので、ニーズをどう掴むかが難しいです。私たちが想定していない用途は他にもたくさんあると思うんです。なので、広く知ってもらって、うまくマッチングできる会社があればと思い、情報発信は意識して行っています。ジェグテックにも大変お世話になっています」。またLAPOのような製品化に向けた共同開発をしてくれるような会社ともつながりたいとのこと。「こちらでは材料の研究開発を、先方では製品化に向けた研究開発を、というふうに役割を分担して、お互い情報を出し合えるような関係で進められると、開発期間を大幅に短縮できると思うんです」と芝氏は話してくれました。

日々実験が行われている研究室
日々実験が行われている研究室

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試行錯誤を繰り返す中で、独自の技術を開発し、他にはない特性を持つナノ粒子の材料を提供する株式会社希少金属材料研究所。
さまざまなナノ粒子の用途は今後さらに広がる可能性があり、ニーズを持つ会社とのマッチングが期待されます。
「ジェグテックでは、いつもニーズをチェックしていますし、ジェグテック経由でダイレクトにお問い合わせが来ることもあります」と芝氏。
ジェグテックを大いに活用していただいているようです。

日本の中小企業は優れた技術を活かして新たな事業に挑戦されている企業が数多くいらっしゃいます。
今後もジェグテックでは、そのような技術力や卓越したサービスを有する中小企業に焦点をあて、
より多くの企業の目に触れるような活動を促進していきたいと考えております。

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ぜひジェグテックをご活用ください。

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