時代を捉え続けてきた、試作品づくりの道。
「当社は1969年に私の父が創業し、車の部品の試作製作からスタートした会社です」と、まずは創業時のお話から始めてくださった水野氏。「当時としては珍しかった、ワイヤーカットと呼ばれる高精度の金属加工技術を早くから導入したことで、試作の仕事は非常にうまく軌道に乗せることができたと聞いています」。その後も試作製作を中心に順調な運営が続いていたユーアイ精機ですが、2000年頃を境に状況が一変したのだと言います。「3次元CADの登場で擬似的に試作が行える環境が整い、試作の受注が目に見えて減っていったのです」。同氏によれば、それと時を同じくして車業界のニーズとして挙がり始めていたのが、部品の軽量化だったそう。「この2つの転機を受け、当社はソフトウェア上では実現できない難加工素材での軽量部品試作に踏み切り、それが今の事業を支える基盤にもなっていきました」。
「技術を磨く」ことで気づいた、
「視野を広げる」ことの大切さ。
加工が困難な軽量素材での試作品製作は、事業拡大を実現しただけでなく、水野氏の仕事に対する考え方にも影響を及ぼしたと言います。「超高張力鋼板をはじめとする軽量素材は加工が大変難しく、お取引先のご要望に応えるため我々も必死で技術を磨いていました。そんな折、完成した軽量素材の試作品を名古屋市工業研究所の方に偶然お見せする機会があったのですが、こんなものが作れるのかと意外にも驚かれたことがあります」。つまり、自分たちが知らない先端技術を研究していると思っていた方に、逆に「我々も知らない最先端の技術だ」と賞賛されたというのです。このことがきっかけで水野氏はあることに気づきます。「それまでは、お客様から与えられた課題の解決だけに注力し、その目的まで知る必要はないと思っていました。しかしそれは大きなビジネスチャンスをみすみす逃していたということだったのです。素材の用途や業界の動向にもしっかりと目を向け、自ら能動的に動くことで、私たちの強みをもっと活かせるのではと考えを改めるに至りました」。マグネシウム合金といったさらなる軽量素材への取り組みや、積極的な海外展開を検討し始めたのも丁度この頃からだと同氏は語ります。
ビジネスパートナーである前に、
仲間でありたかった。
同社が本格的に海外との取引を始めたのは2014年頃。最初は韓国の企業だったと言います。「マグネシウム合金の加工を手がける企業様でしたが、自社での加工がうまくいかず、日本企業のパートナーを探していたところ、私たちがネット上に載せていたマグネシウム合金の加工動画を見つけてくださったようです」。そうして、韓国企業から電話での視察申し込みを受けたという水野氏。周囲からは否定的な意見も多くあったようですが、自らの判断で快諾し韓国企業を後日招待します。「不安がなかったと言えば嘘になります。でも実際に会ってみたらとてもいい方で。ものづくりに打ち込む気持ちは、私たちとまったく同じ。信頼できる仲間だとすぐに感じましたね」。この出会いを機に水野氏は“ものづくりへの情熱は国を越えても変わらない”ことに気づき、さらには、ビジネスパートナーに留まらない、価値観を共有できる仲間が国外に増えることは素晴らしいことだと思い至ったのです。
規模は小さくても、
ネットワークの広さで世界を舞台に。
ビジネスとして利益を出すこと以上に、同じ志を持った海外の仲間を作りたいという想いが今も根底にある水野氏。「私たちの仕事は量産型ではないので、一般的な海外進出のように自社の生産拠点を増やすことはできません。でも、世界中に仲間がいれば海外事業で困った時に助けてもらえる。逆にこちらからも手を差し伸べられる。事業規模は小さいながらも、ネットワークの広さで問題に柔軟に対応できるのは、仲間の存在あってこそだと思います」。そうして世界に目を向け始めた同氏。韓国に続く次なる出会いは、舞台をタイに移します。「2016年頃のことだったと思います。すでに日本でお付き合いのあったお客様がタイに進出されていて、現地調達先を探されているというお話を伺いました。しばらくは私たちも輸出で対応していたのですが、本格的な現地調達化の流れを肌で感じ、当社もタイ進出に踏み切ったわけです。お客様のニーズにすぐに応えられる距離感をやはり大切にしたかったものですから」。
「ニーズ機能」を使って、海外企業のニーズを的確にキャッチ。
そうした経緯でタイに工場を構えた同社。進出に際してはこんな思いもあったと言います。「韓国での経験があってこそですが、せっかくならば現地の企業と手を組んで楽しくやりたいと考えていました。そこで、ジェグテックを活用してパートナーを探してみたのです」。水野氏がその際利用したのが「ニーズ機能」。ニーズが的確に把握できる点で、非常にスムーズに希望の相手と出会えたのだそう。「B.S.Tools & Engineering社というプレス部品メーカーのニーズに、当社が手を挙げる形で始まりましたが、商談前にまずこちらの情報を包み隠さず開示することにしました。技術は日々更新されて古くなっていくわけですし、情報は知財権に気を付けつつどんどん開示して仲間を増やした方がいいとの考えからです。それが、期待されていること以上の情報であればなおいい」。その前向きな姿勢がB.S.Tools社にも伝わり、初対面から互いに好印象だったとのこと。「無事に技術提携まで話がまとまりそうですが、ジェグテックのコーディネーター(専門家)が、相手企業が信頼できるか否かを初めにジャッジしてくださったのもよかったですね。仲間を作りたいとは言え、安心感がなければ一歩踏み出すことはできませんでした」。その後も、コーディネーターのサポートに何度も助けられたという水野氏。さらにこんな言葉を続けます。「お客様が困っているならば、そこに私たちのビジネスのチャンスもあるわけです。とにかくチャンスが転がっていたらやってみる。納期や品質では他社との差別化がなかなか難しいこともあって、海外への挑戦は今後も続けていきたいですね」。タイ、そして韓国での経験を通じて、技術力以上に信頼感の構築が海外においては重要だと実感した同氏。そういった意味でもジェグテックをますます活用していきたいと締めくくっていただきました。
FROM J-GoodTech
ジェグテックを有効に活用して、今回海外企業との技術提携を果たした「ユーアイ精機株式会社」。
ニーズをキャッチする力と、コンスタントに継続できる提案力が、
ジェグテックの各機能とうまくマッチした印象を受けました。
国内においても、中小機構主催の展示会や商談会を積極的にご利用いただいているそうです。
日本の中小企業は優れた技術を活かして
新たな事業に挑戦されている企業が数多くいらっしゃいます。
今後もジェグテックでは、そのような技術力や卓越したサービスを有する中小企業に焦点をあて、
より多くの企業の目に触れるような活動を促進していきたいと考えております。